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3.1.1.5.7 ANA飛行監視システムについて
3.1.1.5.7.1 開発経緯
近畿地方上空を飛行中の航空機がシアタービューランスに遭遇し、CAが負傷する事故が同高度、ほぼ同一場所で10分間の間に2件続けて発生するという事例があった。この事故の検証を行う中で、最初に遭遇した航空機よりシビアタービュランス発生の情報が会社無線を通じて報告されており、地上担当者は会社無線を用いて一斉通報で飛行中の便に注意喚起を促していたが、次に遭遇した航空機はそのとき別の会社無線周波数のエリアを飛行中であったため、この一斉通報を聞くことができなかったことが判明した。また、地上担当者は、会社無線による位置通報が行われていない限り近畿地方周辺を飛行中の便の便名及び位置を把握できない環境であった。
この事例のような連続して発生する事故は未然に防がなければならないこと、及び、1990年11月のボーイング747−400型機就航を皮切りに、実際に飛行している位置の把握が容易となるACARSを搭載した航空機が多くなったこと等に対応するために、1993年10月に国内線用ATRAS(Aircraft Traffic Realyze Administrative System)端末、1994年10月に国際線用端末を開発し、画面の地図上に航空機の位置をプロットし、運航状況の把握を容易にするとともに、モデレートタービュランス以上のレポートがあった場合の表示、航空保安施設の停止、空港悪天状況の表示等、運航の不安全要素をタイムリーに表示することにより、的確な対応が行える環境を整えることとした。
3.1.1.5.7.2 ATRAS端末設置空港及び表示便
羽田空港の運航管理者、及び会社山頂無線局を設置している下記の空港に設置し、全日空の国際/国内線の全便、及びグループ会社(NCA,ANK等)の便を表示している。
千歳、成田、羽田、名古屋、伊丹、関西、福岡、鹿児島、沖縄の各空港
3.1.1.5.7.3 主な機能
(1)飛行位置の表示
(2)タービュランス表示
(3)空港悪天実況表示
(4)ETOPS便表示
(5)無線到達範囲表示
(6)ハイジャック便表示
(1)飛行位置表示
このシステムは正確な飛行位置の表示が目的ではなく、おおよその飛行位置を把握することが目的であるため、離陸時間を基準として、計画時の飛行経路を飛行しているとみなして現在位置の表示を行っている。また、表示位置は一分間隔で更新している。
ただし、ACARS搭載機については、実際の飛行位置がDOWNLINKされるため、そのデータをもとに飛行位置を修正して表示している。

 

 

 

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